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絵の具の話 W&N(ウィンザー&ニュートン)

1832年、イギリスにできた画材会社。油絵の具は専門家向けシリーズの「アーチスト・オイルカラー」と廉価品の「ウィントン・オイルカラー」がある。
この会社は名前が長いので、ときどき私もウィントンと略して言う時があるが、シリーズ名になっているのでやや混乱するものかもしれない。「ニュートン」と訳す人も多い。
ここではアーチスト・オイルカラーについて話す。

一般に、画材会社の神髄は絵具製品の質だと思う。メディウムは品質や種類はまあどこも意識しているが、絵具と比べると必要性が下がるし、こだわるなら自分で加工することになっていくから。

あるドイツの町の画材屋は、オイルに限って言うとリンシードの生油とスタンド油しか置いてなかったという。これは客がかなり材料に詳しい層なので、原料だけ最高な物を置いて調合や加工は任せてしまってるらしい。

だから、素人ではとうてい真似できず、技術と思想が詰まっているものとなると、絵具になる。

が、個人的にはニュートンは絵具よりもオイルをよく買う。これは個人的な好みと事情だ。「コールドプレスド」の名前が入ってるオイルはニュートンにしか見ない。またシックンドオイルもここのを使っている。私が自作する場合、なるべく溶剤を使わず、かつ全段階で使えるようにしてるので、粘度の高い油が欲しい時などにこれを使う。が、正直オイルというのはそんなに大量に消費するものではなく、あんまり使い比べたことがないので、厳密な他社との差は分からない。色合いや粘度くらいは外から見ても分かるけど、それ以上のことは使ってみても分かりづらかったりずる。耐久性や黄変しにくさとか。あとは原料のルートをどこに持ってるか、みたいな話になってくる。

ちなみに、たとえばニュートンでいうとリクインみたいな調合製品は別。これは創意工夫されている。ただ、単独品はあまり会社の差や個性というのは出づらいという話。

それで絵具についての概観だが、ニュートンは「使いやすい絵具」のなかでは品質はかなりいいと思う。おおむねどの技法にも使えるので、メーカーをひとつに絞ってやると仮定するとこの絵具が来てもおかしくない。

ただ、それは特徴にとぼしいということでもある。「ここ一番」の仕事のとき、選ばれるタイプではない。まあ、この二つは兼ね揃えることは難しいが。

理由のひとつに、着色力がわりと抑え気味だというのがある。S氏は「体質が多い気がする」と言ってたことがあったが、実際にそうだろうと思われる。チューブから出した絵具はちょっとふわふわしている。体質が多いと、濁りやすい、色が鈍い、効きが弱いというデメリットがあるが、長所としてはコントロールしやすく、比較的安い。「ナイフでも塗れる高級絵具」といったところか。

ここからは私の漠然とした考えだが、イギリスは古典技法への執着があまりなくて、こういう現代の技法に向いたオールマイティな絵具が支配的なのではなかろうか。油絵の歴史上、超有名な絵描きはヴァンダイク、ターナーくらいか、加えるとしたらコンスタブルとかで、時代の主役になることがそんなになかった。ルネサンスがあったイタリア、新古典主義があったフランス、フランドルやバロック時代に輝いたオランダに比べると華やかではないのね。だから油絵の伝統がそこまで重要じゃない。むしろイギリスは水彩や、絵画以外の芸術が強い。
これは結構適当に言ってるから、あまり信じないでほしい。

(つづく)


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金城孝祐

Author:金城孝祐
劇団無敵の作・演出家。油絵も描いてる。

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