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男には分からない女の世界

一橋のゼミで河野多恵子「最後の時」について発表。共同の発表者はテレキャス弾きの小平スピッツ(gtvo)で、二人ともこの非現実的なテクスト前半部を「想像上の出来事」と解釈し、主人公のおばさんが人生最後の26時間でやろうとしたことを、私は「仮想的な自殺および転生、そして夫との決別」と論じ、小スピッツは「人生を問い直し、夫との関係をお互いに見直すための積極性の獲得」とした。前提を同じにし、最後の手紙を「遺書」と取るかどうかが大きな違いとなっている。

議論でボコボコにされるのは覚悟の上で、自論の骨子だけは最後まで守り通そう、と目標を立てていた。年季の浅い下級生は、よく途中で論を瓦解させられる。
だから、肋骨を何本折られてもいいから、背骨だけは折らせない、という気持ちだった。

しかし蓋を開けてみると、議論に入って三十分もしないうちに、先生から強烈なミドルキックをもらって、骨盤が粉砕骨折してしまった。

先生曰く、このテクストはリアリズムや論理に回収して、理にかなわない場面を空想としてしまうのは面白くなく、すべて実際にあったことだとした方が、読みとして良いという。
話を聞くと確かに面白いし、先行研究や作者自身のエッセイなどにもその説に有利な論がある。
うう、ちくしょう。

と、そこで普段から河野を扱ってる院生から援護射撃をもらう。リアリズムで読まないと、主人公の哀愁と夫婦愛が引き出せないことを論じはじめた。
先生「素直に読んだ方が面白い」
院生「リアリズム読みだからこそ泣けるんです!」
っていう漫画みたいな文学議論を聞きながら爆笑する。また、この院生とは主人公の奇妙な行動について議論をしたが、私が「主人公のやってること、偏執的で異常でしょう? 普通の感覚から言えば」と言うと、院生「そうか? 女子的にはすごく気持ちがわかるけど。女子はそういう生き物です」私「はぁーそうなんですか。勉強になります」みたいな、なんだかよく分からん話になったりもした。結局院生曰く「このテクスト、読者が男か女かで受ける印象ぜんぜん違う」という身もふたもない結論だった。

まあ、色々な読みが飛び出したし、非常に懐の広いテクストだったこともあり、発表者の役割は普通より少なめだった気もするけれど非常に楽しかった。大学は楽しい勉強ができるからいいね。
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金城孝祐

Author:金城孝祐
劇団無敵の作・演出家。油絵も描いてる。

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