
昨日の野尻湖。ホワイトアウトしている。
今日。昼、起きる。
野尻湖は曇天だが、ダメ元でとりあえずヤマメを釣りに行こうという話になる。メンツは師匠、私、師匠の友達のヤスさん、そして師匠の奥さん。
車で走って県境を越えて新潟にまで行ったあとで、奥さんが「餌のミミズはどうしたの?」と質問すると、師匠は「しまった、すっかりわすれていた」とほざきおって、車を止めて漠然とそこら辺を掘り始める。しかし、まだ季節が早いせいか地表近くまで上ってきてないようで影も形もない。こんなところを掘るよりは堆肥のあるところを狙った方がよくないかしら? という話になり、根城にしている山荘までわざわざ戻り、堆肥を作るプラスチックのタンクみたいなアレの回りをスコップで掘りまくる。しかし結果虚しい。
餌はミミズかイクラだというので、野尻湖湖畔の土産物屋で買おうということになったが、どちらも手に入らない。結局黒姫駅前まで行ってイクラを買う。
ようやく準備完了で笹ヶ峰牧場まで行き、そこで車を止めて雪原の森林をひたすら歩く。奥さんは山菜採りのため離脱。
果てしない木々の殺風景な中をひたすら寒さに耐えながら歩く。冬戦争を思わせる。シモ・ヘイヘに狙撃されそう。

そしてようやく景色が開けたら、目の前には深い谷と、その向こうに山脈があった。釣り場までは道なき道をずりずり下っていかねばならず、非常に危険である。正直写真を撮ってる場合ではないのだが。

30分かけてようやく釣り場に到着。師匠には渓流竿を持ってこいと言われたが、持ってないので磯竿で代用。師匠とヤスさんは手際よく仕掛けを作るが、私は渓流釣りなんてほとんどやったことないのでもたもたして後れを取る。

遅れること15分くらいでようやく仕掛けが完成したが、二人ともまだ釣れてないのでそれほど焦りはなし。いまからまだ挽回できる! と思って竿を持ち上げた瞬間、上にあった木の枝に針が引っかかった。
ファック!!
崖をよじ登り、枝をしならせて針を抜く。根掛かりでなければ何とかなるものだね。
それからようやく気を取り直して投げてみるけれど、いくらやっても手応えがない。時々餌にしているイクラが無くなるが、釣れる気配というか、アタリがない。
寒い。雨がしとしと降っている。だんだん厭世的な気分になる。
私「ホントにヤマメなんているんですかねえ」
師匠「いないかもしれないねえ」
うおおおおおおおおおおおおおおおおおお。
釣果
私 0
ヤス 0
師匠 0
こうして、三人はダイブした。温泉にな。
帰り道の雪原、あまりに過酷な路面のせいで腰を痛めたが、湯に入って何とかなり、山荘に戻ったところ、我々がニヒリズムに直面しているあいだワカサギ組が160匹釣っていたことが判明。よかった。今日はありつけないと思っていた。
また、採りたての行者にんにくを醤油漬けにしたものを作る。一年物は熟成されて漢方薬のような味がするが、フレッシュはニラのような植物らしさがよく出ている。
行者にんにくは笹ヶ峰牧場の近場で栽培されているといい、原産は北海道らしい。私は気に入って、「東京で育てられますか?」と聞いたが、「雪に埋まりながら育つ草だから、かなり標高の高い地域じゃないとムリだろう」とのこと。がっかり。
ワカサギや山菜やなんやかやを食い、ビールを飲みワインを飲み、ねらねらしていると、卓球台に興味が向く。なぜかあるのである。最初は管理人のおじさんと勝負した。実力は五分五分くらいである。私は小学生の頃卓球クラブにいたが、あまり真剣につきつめて研究はしていなかった。しかし久しぶりにやるのは楽しい。
管理人のおじさんはご老人なので、途中で息が上がってリタイヤする。すると、師匠が満面の笑みで乱入してきて、「お前なんてボコボコにしてやる!」とラケットを振り始める。
強い。
なんなんだこれは。
どちらかというと私が下手で、決めるべき手を決められないシーンが多いが、師匠は隙ができると容赦なく嫌な射角に打ち込んでくる。しかも玉を追う私の動きを真似する。ちくしょう。
そのうち11ポイント、二ゲーム先取の勝負をしようということになり、今までの雪辱を晴らすよう集中する。
落ち着いて打ち、相手のミスを待つことにする。
この作戦は好奏した。師匠は最初警戒しているせいか動きが固く、私は攻めを捨てて負けない戦いに徹した。中盤まで伯仲の戦いを演じることができたが、最後にミスがたたって11対9で負けた。
2ゲーム目は全くダメだった。勝負には流れがあるという好例であろうが、スコンクで負けてしまった。
「金城はまるで駄目だなぁ」「口ほどにもない」とさんざん言われる。
終わった後、奥さんに「何であんなに強いんですか?」と聞いたら、「卓球部だったのよ」とおっしゃった。
おとなげねぇ……