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ふんげろばっちょ2013ザ・愛と絶望のロンド武蔵小杉細胞炸裂人間の詩劇的最期風劇画

 マスカルポーネ!! そのかけ声とともにチーズで人を撲殺することが実証された記念日! 俺の体からしか取れないという特殊なたんぱく質を狙って世界中の山田が猛っておるわい。こんなことなら逃亡用のハローキティー自転車を買っておくべきだった、もう走るしかない、涙とよだれを悲しみの数だけ流しながら走って逃げるしかない! だが気づいた、涙とよだれの後はどれだけ追跡を容易にするかということをね! どれだけ悲しめばいい! 俺はあとどれだけ悲しめばいい!! ついに山田に囲まれた俺は自らの手刀で頭を落とし、胴体だけで走り去って難を逃れたわけだが……もう感情といっしょに、人間らしさも食べる喜びも見る喜びも、音も匂いも失った、世界を俺は失った。ああ、それをもう俺は悲しいとも思わないのだ。笑うかい、田中。だがな。俺はまだ諦めん。根気のない山田どもが諦めきって、飽きて帰ったら、俺は俺の頭を探しに出かけるのだ。そうして今度こそ、ハローキティー自転車のカゴに頭を乗せて、新小金井街道はためく幢幡ひらめかし走り去ってやるのだ! 誰か! 俺と唾液を交換してください! 俺と接合し、唾液を交換してください! 男でもいい! いや、男でもいい! 男でもいい! 女でもいい! 子供でもいい! 老人でもいい! 死体でもいい! 卵でもいい! そのとき俺は、やっと安心できる気もしなくはない……小さな卵を抱いてうたた寝のなかで枯れた唾液は泉となる、それはいつのまにか循環し美しく澄んだ溶液だ、そして俺と卵は果てしなく深い唾液の中に沈んでいく…………田中! 田中じゃないか! それに吉田! 鈴木まで! なあんだ、みいんなこんなところにいたのね! ……捜索隊が全裸で唾液まみれの男たちの死体を発見したのはそれから数ヶ月後の夏である。損壊は酷く、蠅と蛆のうごめく凄惨な現場であったという……奴らは悲劇の死を遂げたが俺は違うね。ちなみに俺は、ハローキティーだ。さっきまで自転車として生きていたが、今から自由に生きる。いいじゃないか、好きに生きて! いままでさんざん人にのられて、いいように走らされて生きてきたのですもの! いいじゃん! いーじゃーん! サンリオ! けろけろけろっぴとか好きです。好きですー!!! くそっ、俺が欲しかった自由ってこんな物なのか。なんかもっと暴力とかセックスとか、そういうあれだよ。ハローキティーだぜ? 俺よ! 暴力とセックスが好きですーーーーー!!!!! よし!!! くそっ、サンリオ関係者に囲まれてしまった。やめろー! どこに連れて行く気だ! もしや俺に暴力とセックスを? うわー! いやっ、やめて! けろっぴ! けろっぴじゃないか、こいつらを止めてくれ! ……けろっぴ? けろっぴ! やめてくれ! けろっぴ、苦しい! やめて…………薄れいく意識の中で、今もまだ思い出されるけろっぴけろっぴ……いつも笑顔をたやさない緑。お目目が丸い緑。それは、悲しみだった。生きることは悲しみだった。残るもの、なくなるもの、そのすべてはつまるところ悲しみなのだ。喜びとは、悲しみの形態の一つなのだ。だからせめて最後には楽に。そう思った。けろっぴの手はつめたかった。変温動物。だがそこに血の通う心があることは人の知るところだ。だが、変温動物……「この冬は寒すぎるよう」キティーの毛皮は高く売れるという。しかしもう死人に口無し、ハローとは言えなかった。

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金城孝祐

Author:金城孝祐
劇団無敵の作・演出家。油絵も描いてる。

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