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「進撃の巨人」について考える

 村上隆氏が「進撃の巨人」についてコメントしている。


「憂鬱な漫画だ。突然出現した巨人が人間を捕食するのに、なぜそうなのか誰も分からない。
 漫画自体は独特だけれども、日本でこの漫画が爆発的な人気を呼んだのも独特の現象だ。
 結局この漫画が日本の若い世代の現実だということだ。人間は巨人から身を守るために
 積み上げた高い壁に閉じ込められて無気力な生活を送る。その限定された安全でさえ、
 いつ巨人が壁を取りはらって攻め込むかも知れない恐怖と共存している」



 それを受けて記者が以下のように書いている。


この話を聞くと『進撃の巨人』が韓国の若い層の間でも人気であることが理解できる。
彼らも“壁”に囲まれた社会、“良い働き口”が不足して青年の失業が増加し、階層アップが
難しくなった、閉じられた社会に生きているではないか。
その上、北朝鮮の挑発威嚇、周辺強大国(※皮肉にも『進撃の巨人』が出た日本も含まれる)との
政治的摩擦なども、見えない“壁”や“恐怖の巨人”として作用している。



 この記事は村上氏の訪韓を期に書かれたので韓国の若者が話題になっているが、まあ日本にも言えることでしょう。まあ、アナロジーでとらえるとそうも読めるということですね。


 私は「進撃の巨人」はニコニコ動画でアニメを見ているけれど、まず思うのは、巨人という存在は、理解も共感も不可能という、まさに典型的な「他者」だということ。

 作者の諫山創氏の体験談でよく見るのは、子供の頃は体が小さく、地域の相撲大会で体重が軽いせいで負け続け、「集団のオスの中で劣っている存在と認識した」というもの。
 また、並べて述べられる体験は、深夜のネットカフェで働いた時、客からいきなり胸ぐらをつかまれたことがあったとのこと。「意思の通じ合えない人間の怖さを感じた」と。
 そこらへんのことが作品に投影されているという。

 まず言っておくと、他者というのは「私」が了解しようとしても、絶対に了解しえないものが残るもので、その存在からして絶対に分かり合えないものであります。ので、「私」がそれでも他者を容認するというのが倫理のひとつの形となってはいるのですが……

 そういう論点で読み解くと、「進撃の巨人」の物語構造は、「理解も共感もできない奴らは、意味不明な理由で我々に害をなすから、やられる前に皆殺しにするべきだ」という、いささかさもしい骨格が見えてくるわけで……。レヴィナスも「他者は私が殺したいと意欲しうる唯一の存在者なのである」って言ってるよ。その感情にまかせていいの、世界。

 まあ、どうもこの漫画を生み出すエネルギーの原動もどうやらルサンチマンぽいのでいたしかたなさそうですが、しかしアニメを見る限りキャラクターは魅力的で十分楽しいから、私は見続けます。やっぱりリヴァイが暴れている時は細かいこと考えない方が楽しいし。


 

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No title

エレンは受けがいいように見えるけど、全然現代的じゃない。
そういうときは、ゾンビ取りガールを読んだらいいよ。

No title

その漫画しらないや。今度みてみる。

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金城孝祐

Author:金城孝祐
劇団無敵の作・演出家。油絵も描いてる。

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