FC2ブログ

血とともに流すべき罪がない

ダンゲーキサムービのhyo藤が「知り合いがある公演に関わっているが、当日スタッフが足りずに困っている」というメールをくれたので、ちょっと行ってみた。

中野のザ・ポケットでの紅王国公演「我が名はレギオン」。hyo藤の知り合いというのが学生さんであったから学生演劇かと思ったら、しっかりした劇団だったので驚く。折り込みや受付をやる。私は折り込みは早いが、接客はやったことがほとんどなかったので手際がわるく、五分で受付はクビになった。能力がないって悲しい。
タダ働きの代償として、タダで見させてもらった。

現実的な世界に根ざしているが、ややファンタジーな警察もの。超能力者に近いプロファイラーとか妄想系のシリアルキラーが出てくる。ストーリーは推理、捜査のシーンが主だが、その様子自体はあまり重要なことではないと思う。犯人も、最初からあやしい上にマジで真犯人だし。

推理が主体の芝居は何本か見たことある。残念なことにそれらは出来がよくはなかったので、推理芝居にはあまりいい印象は持ってなかった。芝居でそれをやるとデメリットばかりが見えすぎるし。だからこの芝居も二場ほどで推理ものだと分かると、冒険してるな、と思った。

が、今回は前述のとおり謎解きはおまけで、人間の感情や、時々出てくる妙な世界観がむしろ見せたいところだろう。そして、最後にシリアルキラーの悲しみを描くことが。

一番面白かったのは、最後の犠牲者からは「体を切り刻んでも、血は流れなかった」というような犯人の発言。この犯人は援助交際目的で出会い系サイトに書き込む女性をバラバラ死体にしていくのだが、最後の犠牲者は「血とともに流れ出るような罪はなかった」という。これは普通に解釈すれば処女だったということだが、それよりも「血が流れない」ということが、それまでの世界観が現実的なのか(表現として非現実的なシーンがあったのか)、空想的なのか、曖昧だったことで、本当に血が出なかったのかそれとも単に比喩なのかが判明しないところが見事だと思った。この犯人の告白こそどのシーンよりもファンタジックであり、詩的であるので、犯人の現実認識のあやうさをよく説明できている。

ソワレおわってから作・演出の野中友博さんに挨拶する。普段から推理ものやったりはしてないそうだ。
あとうちらの「劇団無敵」というネーミングに笑ってくれた。この人いい人だ、と思った。


コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

金城孝祐

Author:金城孝祐
劇団無敵の作・演出家。油絵も描いてる。

最新コメント
カレンダー
11 | 2019/12 | 01
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
最新記事
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター