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不夜城

 卒・修制は講評が近づき、追いつめられた学生が狂乱してるので大学は夜まで騒がしい。丸ノコが火花をまき散らしてるし、インパクトは空打ちしてるし、歩いてると必ず泣いてる人か怒ってる人に出くわし、油絵のアトリエからはテレピンの臭いが吹き出し、彫刻のアトリエからは丑三つ時まで槌の音が響き、日本画の学生は冷蔵庫の膠をうっかり腐らせ、中央広場では基礎デザイン科と視覚伝達デザイン科が縄張り争いの銃撃戦を繰り広げ、暗がりでは女子学生が襲われ、空デの教室は引火して爆発し(実話)、五号館のゴミ箱が燃え上がり(実話)、ストリーキング集団が横断し(実話)、暗黒教団が地獄の淫獣を召喚し(実話)、教授たちは吊るし上げで赤ペンキをぶっかけられ(歴史)、男と女が核融合し(科学)、俺は少女になる(神秘)。最近そんな感じ。

 作品展示場所でしかできない練習があるので、そこで動きをやる。ここは今はまだ私の場所ではぜんぜんないので、通行人にちょっと迷惑かけながらやっている。
 一連の動き、これは難易度的にはバカむずいわけではないので、訓練と気持ちの問題。繰り返すうち、段々となめらかになり、全身が連動する。筋肉の硬直すらかろやかに思える。そして自分は妖精なんだと思いはじめた。そして、村主さんになるのだったら、妖精を経由してしかるべきだと思った。妖精になれないような奴が村主さんになれるわけがない。このステップならいける! 跳べる! 妖精! と思ってたら、ちょっと顔見知りの女の子が通って「あっすいません練習中ですか? 通っていいですかすいません邪魔してあははっ」と言うので「いやいいんですよ俺が勝手にこの場所使わせてもらってるだけですから、迷惑かけてすいませんねあははっ」と言ってしまった、駄目だ、そんなこと妖精は言わない。邪念が一切まぎれていてはいけない。誰がどう思おうと、演技中は俺は妖精になってる、この瞬間は宇宙で2番目に輝いてる、そう本気で思う、いや、当然のこととして疑問すら抱かないレベルに行けなければならない、そして時間や空間を超越する、それが少女。だね。村主さんも半泣きでうなずいてる。そしてまず妖精に妖精にと反復、脳内でコーチを作って自分を煽る。しかし完璧にはいかず時間ばかり過ぎる。夜遅くまでの練習なら、公演前とかだと普通に午前2時とか4時とかまでやるが、一人でやってるとスポ根漫画みたいだ。今日N教授にばったり会って、「楽しみにしててくださいよ」と思いっきりフカしてしまったので引くに引けない状況となり、いたしかたないことである。でも久々に自分を死ねるレベルまで追いつめてるので楽しい。明日には筋肉痛が引いてることを願いつつ、今日はおやすみなさい。目が覚めたら村主章枝になってた、なんてことは望まない。ただ、顔が村主章枝っぽくなってたらいいなあとは思う。

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金城孝祐

Author:金城孝祐
劇団無敵の作・演出家。油絵も描いてる。

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