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夢判断できず

めずらしく夜中に何度も目が覚め、夢を沢山見た。最後の方だけなんとか憶えている。
どこかのイベント会場みたいなところから、帰ろうと思って駐車場にまで歩いた。私の他に連れが二人ほどいた気がする。ミニバンみたいな車の後ろの席にのると、すでに運転席に知らない誰かが乗っていた。運転席の男は何気ない会話を始めながら、車を走らせた。そのときこれはタクシーだったと知った。
タクシーの運転はなめらかで、男は静かで気取らない話をするのがうまかった。
道はどこか懐かしく、一度現実で通った事がある気がする。恐らく東京じゃなくて神奈川だろう。そう思いながら、タクシーであるのならば行き先を指定しなければならない、と思った。

私は近くのホームセンターにつけるよう言った。なぜかこのタクシーで家まで帰るのは恐い気がしてきていた。それよりイベント会場で不足してる物を買って、一旦戻ろうと考え直した。運転手にしばらく待ってるように言い、車を降りてドアを閉める。が、どうも半ドアになってうまく閉められない。ドアは少し特殊な形をしていた。なかなかうまくいかずにいて、業を煮やした運ちゃんがこっちまで来て「何やってんの! こう閉めるんだよ! こう! もっと力入れて! ああもう!」と、突然キレだす。

ああ、私は車のドアすらうまく閉められないのか、と失意のままホームセンターの中に入った。そこはゲーセンだった。さまざまなゲームの中に車を運転するものがあり、連れの二人がそれで遊んだ。では私もやろうかと乗り込んでみた所、これもまた特殊な形をしている。ハンドルらしきものはなく、運転席は簡単なフレームで囲われている。座席も横長のタイヤみたいになっている。どうやらフレームをつかみながら体勢を安定させ、尻をつかってこのタイヤを前に回すというやり方らしい。目の前にあるテレビ画面には、ものすごい雪山の渓谷ステージが広がっていた。こんな車でどうやって走れというのか。

そこに、何人かのゲーマー風男女が現れた。彼らは「俺たちにもやらせろ」と言って、全員服を脱ぎだした。そして一人の男女ペアが、マシンに乗り込んだ。「ああ、これは男女ペアで、全裸でやるものなのか?」と私は混乱し、ますますやる気を失っていた。なにもかも理解できなかった。
そんな私の心境を見抜いたのか、隣のマシンから男が「さっさとコインを入れな」とけしかける。

そのゲーセンにマシンは3つだけ置かれていたが、始まってみたらゲーマーたち全員がエントリーしていた。全部で八組くらいで、マリオカートのような状態だ。私は尻を振ってタイヤを前に転がした。非常にのろかった。一方ゲーマーたちは異常なスピードが出ているばかりか、崖を使ってジャンプしたり、片輪走行で障害物を避けたりなどハイパープレイであっという間に先に進んでしまう。
どうせ勝てるわけはないのだから、と落ち着き、そもそもどういう体勢が正しいのか、ちょっとずつ尻や腕の位置をうごかしながら試行錯誤する。やがて、大きく仰向けになって、尻から背中まで大きく使って車輪を回すとスピードが出る事が分かった。しかしこれでは、画面がまるで見えない。
それでも不思議とミスすら減っていった。画面全体を見通さなくても、右下端、左下端を注意深く見ればなんとなく次の地形が予想できるのだ。「もしかしたらあのゲーマーたち、この事を伝えたくて……」
「やっと気付いたか」隣で運転してるゲーマーが言った。「流れる風景に目を奪われるな! 見るべきは先の風景ではない! 今この瞬間に全ての運命は暗示されているんだ! それに体を委ねるんだ!」八組のゲーマーは途中で待っていてくれたのか、全員が私のすぐ後ろを追っていた。ゴールが見えてきた。何かを悟った気がした私は懸命に尻を振ってスピードを上げた。しかしゴール手前の乱気流にバランスを崩され、一瞬失速した。その瞬間、ゲーマーたちは一気に抜きさって、ゴールしていった。
彼らは、初めてにしては上出来だ、と優しく褒めてくれた。

その帰り道。神楽坂みたいな所を下っていた。私は先ほどのレースについて考えていた。なぜ私はあのとき、悟った振りだけして、本当に脱ごうとしなかったのか? 彼らとはまだ勝負にはならないだろう。しかし私は、自分に負けたのではないか?
後ろから、私の連れの一人が声をかけてきた。彼は全裸だった。「ねえなんで俺全裸なの? ちょっと恥ずかしいんだけど。ありえないし。服どっかにないの?」私はイライラしていたので、「うるさい! それは恥ずかしい事じゃないんだ! 俺だって今全裸になれと言われたらいつだってなることができる!」と怒ってしまった。

私は思った。うつくしくなりたい。まやかしのベールを脱ぎ去ってしまいたい。そして小さなカフェバーに入り、小さなテーブルについた。
隣のテーブルで、おっさんがワインを手にかかげていた。
そのワインの3メートルほど奥に、おっさんの顔が浮いていた。おっさんの顔はワインをじっと見ている。
ワインは、グラスごとふわふわと溶けだして、一輪の花に変わった。
美しかった。

私のところにもワインが運ばれてきた。私がそれを手にもってじっと見つめていると、やはりそれは溶けだして、花となったのだった。
しかしまもなくその花びらも、ふわふわと散って溶けていった。
花の中から、親指サイズのタキシード姿のおっさんが現れた。


そこで目が覚めた。

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金城孝祐

Author:金城孝祐
劇団無敵の作・演出家。油絵も描いてる。

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