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新規開拓

 せっかくなので、使ったことのない材料や方法を色々試している。

 シルバーホワイトにヴェルネ(ホルベイン社の上級グレード)のものを使ってみる。普段はマツダスーパーかミノーを使用しているが、これはどちらもポピーオイルで練られているので下層から使用する場合は油抜きしてオイルを入れ替えるほうがよろしく、ちょっとめんどい。その点ヴェルネはリンシード練りのものもある。が、使ってみるとちょっとふわふわした感じがする。体質多いのか? と思って調べたらそうではないらしいので、顔料が細かいのと軟練り仕上げになってるだけだと思われる。グレージング中に抵抗感を出したいとき、そっと混ぜるような使い方ならかなり便利な気がする。

 オーレオリン。
 俗に「コバルト色」と呼ばれている、真っ青な色がありますが、あれは「コバルトブルー」という色名&顔料名である。しかしそれのみがコバルトの色ではなく、まず、純粋なコバルトは銀色の金属である。それをどう化合させるかによって、青色っぽくなったり、緑色っぽくなったりするわけである。そして面白いことに、基本は寒色系に化けるコバルトが、混ぜ物なしで黄色になってしまう。それがオーレオリンである。
 この子は無機顔料のくせに透明という謎のスペックを持ち、かつて西洋では「絹の輝きを描くなら白と、オーレオリンを使うべし」とまで言わしめた、あでやかな美貌を持ちあわせている。ハイソな趣味なので、交遊関係はシルバーホワイトやチタニウムホワイトなどお嬢様たちといることが多いが、下地に明るい色がないと輝けない、つまり他人に頼って生きている彼女を快く思っていない子もいる。嫉妬深い天然ウルトラマリンや、不良グループのアリザリンレーキに絡まれて蹴りを入れられると、色を失って見えなくなってしまう。そんな彼女は太陽も苦手。

 で、今までミノーのオーレオリンを使っていて、色があまりに弱いので「こりゃ淘汰されるかもな……」と思っていたが、ターレンス・レンブラントのものを買ったので使ってみたら、びっくりするほど強烈に効く。なんじゃあ。
 オーレオリンはインディアンイエローに取って代えられる説があったが、この強さを見るとほんのわずかな色の好みくらいしか違いがない。あとは10年単位で退色しないかどうかだが……。

 コーパル樹脂。
 塊で買った。石粒みたいな、砕けたガラスみたいな、黒っぽいものが詰まっている。瓶。ラベルの説明によると、そのまま溶剤に入れれば溶ける状態に加工してあるらしい。これは助かる。
 ダンマルやマスチックなどの軟質樹脂とちがい、コーパル樹脂は半化石化した硬質樹脂であり、おいそれとは溶けないので、ランニング処理というものをしなければならない。やり方はいくつかあるが、一つだけ紹介すると、油にコーパル樹脂を適量入れ、200〜220℃で数日間熱するのである。
 このとき問題になるのは、ガス代や火の番にとどまらない。ランニング処理中には、とてつもない悪臭が発生するという。もう随分前のことだが、クサカベの技術部の人と話をしていて「クサカベはコーパルワニスは作らないんですか?」と聞いたら、「あれは臭いが酷いから、町の中にある工場で大量にやったら大変なことになる」と言っておられた。それからちょっと後になって、アキーラが発売された気がする。
 まあそういうわけで、ビーカーにちょこっと入れて溶剤で溶かさんとす。ペトロールでやって万一溶け残ったら萎えるな、と思ったので、これも新兵器のイングリッシュ・ディスティルド・テレピンを使用。臭いが鮮烈。

 ベネチアテレピン、スタンドオイルの併せ技。のびるのびる。久々に使ったので楽しい。
 さあ、まにあうのだろうか。あと一週間か? でも乾燥しないと運べないし……。

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金城孝祐

Author:金城孝祐
劇団無敵の作・演出家。油絵も描いてる。

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