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Say-YA! NO! You-u-to,,,,,,生え際ヤバ子の憂鬱

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「メリーギャクリスマス!! 生え際ヤバ子ちゃんでーすb(⌒o⌒)d今日は一年で一番の祭典! なのに私ったら量り売りのバイト入れちゃった……(><)ま、今日は時給が上がるしどうせ予定がないから別にいいんだけどね!(泣)こうしてケーキの重さを計るたびに私の心に寒風吹きすさび、色は枯れ、部屋まで退色してる気がするわ……やになっちゃう!! わたしだって今日くらい素敵な男の子とあそびたーい!。・゚゚・(>_<;)・゚゚・一緒に映画とかみにいきたーい。『ハートロッカー』がいいかな。そんで爆弾処理兵があやうく爆死するかというシーンで『こわいようっ!』って彼の首にかじりつくの。すると『こわいシーンが終るまで、僕の胸で目をふさいでいな』っていって、わたしのおでこにちゅってするの。にゃーん。わーどーしよーっ!! うわーいっ!! はっ、天秤にケーキと間違えてパイナップルボムを乗せてしまった。ええい、投げてしまえっ! リア充爆発しろ!! くそっ!! おまえらなんて家畜だ!! 神の実験農場の遺伝子プログラミングにすぎないんだ!! あーんはげるー。心をおちつけよう。とりあえずバイト代が入るから、逆正月(七月一日)にお祝いしよっと。閉じましておめでとうございます! クローズする! クローズには『近づく』という意味もあるの! そう、その目指すところつまり、殿方!! くそっ落ち着け! 落ち着いてないぞ! そんなに私さびしいのかな? Yes I am!! おや、なにやら店に人が並びはじめたYO。どうやら私の激しい独り言が偶発的にも客寄せの効果を発揮しているみたいだわ。ふン、私ったらとんだ道化……わたし、ただ普通の恋がしたかっただけなのになー。何で毎年毎年バイトしながら過ごしてるんだろー。ぬくもりがほしいよ……そんな気分とうらはらに、ケーキが飛ぶように売れていく……『投げてしまえ!!』私の心が叫ぶ。私はすでに、ケーキではなく私自身を天秤にかけていた。ケーキを売る私と、私らしくある私を。私は投げる、ケーキを!! 猛々しく!! 華々しく!! だって、これが私だから!! とどけ! 届くべき人に私の思いを込めたこの甘いクリームのようなふわふわを!!! 次々に放たれたケーキは客の列を騒然とさせたけど、聖夜のテンションのせいか皆お祭りのノリだった、客はケーキを奪っては客同士でケーキ合戦を始め、スポンジと生クリーム、イチゴの黄、白、赤の色彩が通りに飛散往来した。『これだ!!』私は叫んだ。『私の求めていたギャクリスマスのパッションはこれなのよ!!!』私は両手にケーキを持ってカウンターの上に昇り、両腕を広げて客の中に飛び込んだ。この戦場の中では誰も無事ではいられない。でもそれがうれしい。それでいい。そのときふと横から人にぶつかられ、ふらついたのと同時に、おでこに生クリームがぴちょっとついてしまった。私はそのままふらつき、誰かの前にぶつかってしまった。
 男の人だった。

『あ……』

目が合って、私、とっさに何も言えなかった。周囲の喧噪が一瞬遠くなった。お互いの視線は動かなかった。体が熱くなるのが分かって、それが恥ずかしかった。でも離れられなかった。顔が赤くなるのも分かった。
『おでこに、クリームが……』彼が、そう言った。
『……とって』私はそう言った。
彼は少し困惑しながらも手を伸ばして、指ですくい取ろうとしてきたけれど、私は首をそらして、少し振って『いや』と示した。彼はちょっと困ったふうにしていた。でも、私がもう一度彼の目を見つめると、察してくれたようだった。彼は私の肩を抱いて、おでこに口をつけた。
私は彼の胸におでこを埋めた。男の人に包まれてあたたかなまどろみを覚えた。秤は落ちた。
十二時を回り、鐘が鳴る。祭りは終わり、時雨がケーキの残骸を洗い流してくれる。ただ、私のおでこのクリームは雨ではおちないのね。



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金城孝祐

Author:金城孝祐
劇団無敵の作・演出家。油絵も描いてる。

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